親が亡くなったら不動産と準確定申告はどうなる?
「親が突然亡くなってしまった。不動産の名義はどうすればいい?税金の申告は?」そんな不安を抱えたまま、相続手続き全般に追われている方は少なくありません。本記事では、相続・不動産・準確定申告という三つのキーワードを軸に、ご家族が亡くなった後にやるべき手続きをわかりやすく解説します。「何から手をつければよいかわからない」という方こそ、ぜひご一読ください。
1. 相続手続きの基本的な流れ
相続とは、亡くなった方(被相続人)の財産や債務を相続人が引き継ぐものです。相続財産には、預貯金・現金・有価証券のほか、不動産(土地・建物)、さらには債務(借金)も含まれます。相続が発生すると、法律上は「相続開始と同時に」財産が相続人に移転します(民法第896条)。
しかし、実際には遺産分割協議などさまざまな手続きをしなければ、その財産を引き継いだり、自由に売ったりすることはできません。相続人の確定や遺産分割協議など、基本的な流れに沿って手続きを進めることになります。
1-1 相続人の特定
相続人の範囲と順位は民法で定められています。配偶者は常に相続人となり、子(第1順位)、父母・祖父母(第2順位)、兄弟姉妹(第3順位)の順に相続権が発生します。「誰が相続人になるのか」を正確に把握することが、相続手続きの出発点です。
相続人を確定させるためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等をすべて取り寄せる必要があります。
1-2 遺産分割協議が必要となるケース
生前に被相続人が残した遺言書がなく、相続人が複数いる場合、「誰がどの財産を相続するか」を話し合いで決める必要があります。これを遺産分割協議といい、相続人全員の合意が必要です。合意内容は遺産分割協議書として書面にまとめ、相続人全員が実印で押印します。
遺産分割協議書は、不動産の相続登記や金融機関での預金解約・名義変更の際に必要書類として求められます。相続人自身で作成することも可能ですが書式や記載内容に不備があると手続きがスムーズに進まないため、司法書士などの専門家に作成を依頼するケースが多くみられます。
1-3 各種必要な手続き
遺産分割協議によることなく、死亡届や年金に関する手続きなど、相続人のご逝去後にはさまざまな手続きを進める必要があります。相続放棄など期限が定められた手続きもあり、不安がある場合は早めに専門家に相談しながら、相続人自身がとるべき手続きを早めに決めていく必要があります。詳しくは以下の関連記事もご一読ください。
関連記事:相続に3か月のルールがあるって本当?知っておきたい手続き期限
2. 相続における不動産の手続きと押さえておきたい税金
相続財産の中でも、特に手続きが複雑になりやすいのが不動産です。土地・建物などの不動産は、相続が発生しても自動的に名義が変わるわけではありません。相続による所有権移転登記(相続登記)を法務局に申請する必要があります。
2024年(令和6年)4月1日より、相続登記が法律上の義務となりました。相続によって不動産を取得した相続人は、取得を知った日から3年以内に相続登記を申請しなければならず、正当な理由なく申請を怠った場合は10万円以下の過料(行政上のペナルティ)が科される可能性があるためご注意ください。
関連記事:相続登記の申請義務化について
2-1 登録免許税はどうなる?
相続登記を申請する際は、登録免許税という税金がかかります。相続を原因とする所有権移転登記の登録免許税の税率は、不動産の固定資産税評価額の0.4%です。たとえば、評価額が3,000万円の不動産であれば12万円の登録免許税が必要です(なお、一定の条件を満たす場合には免税措置が適用されることもあります)。
遺贈の場合は税率が異なり、登録免許税の税率は2.0%となります。
2-2 固定資産税はどうなる?
所有者(被相続人)が亡くなった後も、固定資産税は発生し続けます。また、相続後は不動産を取得した相続人が固定資産税の納税する必要があります。さらに、相続した不動産を売却する場合も固定資産税に注意が必要です。売却後であっても、前所有者(相続人)宛に固定資産税の納税通知書が届くことがあります。
詳しくは以下の関連記事をご一読ください。
関連記事:相続した不動産の固定資産税は誰が払う?町田市の事例や注意点を解説
3. 準確定申告とは?不動産相続時には要注意
相続手続きの中で見落とされやすいのが「準確定申告」です。準確定申告とは、亡くなった方(被相続人)の、死亡日までの所得について行う確定申告のことを意味します。
通常の確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間の所得をまとめて翌年3月15日(翌日3月16日の年度もあり)までに申告します。
しかし、年の途中で亡くなった場合、その年の1月1日から死亡日までの所得について、相続人が代わりに申告・納税する必要があります。この手続きを準確定申告と呼びます。
3-1 準確定申告が必要なケース
準確定申告が必要になるのは、生前に被相続人が確定申告をしていた人です。具体的に主なケースは以下のとおりです。
- 被相続人に不動産所得(賃貸収入等)があった場合
- 被相続人が事業所得(自営業・フリーランス等)を得ていた場合
- 被相続人が複数の会社から給与を受けていた場合
- 被相続人の給与収入が2,000万円を超えていた場合
- 被相続人が医療費控除などの還付申告をしていた場合
- 被相続人が上場株式等の譲渡益を得ていた場合
また、準確定申告が不要なケースでも年末調整や医療費控除などの準確定申告を行うことで還付が受けられる可能性があります。
3-2 準確定申告の期限と手続き方法
準確定申告の申告期限は、相続の開始を知った日(一般的には被相続人が亡くなった日)の翌日から4か月以内です。通常の確定申告と異なり、年をまたいで翌年3月まで待つのではなく、速やかに手続きを進める必要があります。期限を超えてしまうと延滞税などのペナルティが課せられるおそれがあるため注意しましょう。
申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署です。相続人の管轄地ではないため注意しましょう。町田市在住の方であれば、所轄の税務署(町田税務署)が窓口となります。準確定申告書には、相続人全員が連署して提出するのが原則ですが、各相続人が別々に申告書を提出することもできます。
4. 不動産の準確定申告におけるよくある質問
町田市や相模原市などの周辺でアパートや賃貸マンションなどを所有していた被相続人の場合、不動産所得についての準確定申告が必要となるケースは多く、速やかな対応が欠かせません。そこで、不動産の準確定申告に関するよくある質問をご紹介します。
4-1 相続した不動産は必ず売却しなければならないのですか?
売却するかどうかは相続人が自由に決められます。売却せずにそのまま住み続ける、賃貸に出す、空き家のまま保持する、といった選択肢もあります。ただし、空き家については、固定資産税の特例が適用されなくなる場合や、自治体から適切管理を求められるケースもあります。早めにどうするかを決め、相続登記の完了と適切な対応を行うことが重要です。
4-2 準確定申告は自分でできますか?
準確定申告書の作成・提出は、相続人本人が行うことも可能です。ただし、不動産所得の計算・医療費控除・各種特例の適用など、判断が必要な事項が多く、誤りがあると延滞税が生じる可能性があります。期限も短く設定されているため税理士への依頼がおすすめです。
5. まとめ
相続・不動産・準確定申告は、それぞれが複雑な手続きを含み、かつ期限が定められています。特に不動産の相続登記は2024年から義務化され、放置することはリスクとなります。また、準確定申告は4か月という短い期限があるため、後回しにしていると手続きが間に合わなくなることもあります。
東京都町田市・相模原市・大和市などにお住まいで、相続に関する不動産の手続きに悩んだら、お早めに司法書士と連携しながら相続手続きをトータルサポートする、まねきや不動産へご相談ください。
