相続対策に「家族信託」は必要?仕組みやメリット・デメリットを解説

経営しているテナントやアパートがあったり、実家の不動産をお持ちだったりする場合には、将来的に誰に相続させるか悩ましいものです。

 

不動産をめぐる相続の対策を検討する方は少なくなく、どのような方法が自分に適しているのかわからない方も多いでしょう。

 

特に町田市や近郊の自治体のような、古くからの住宅街と新しい開発が混在するエリアでは、実家の相続や不動産オーナーが抱える相続問題は切実です。そこで、本記事では近年話題となっている「家族信託」について、仕組みやメリット・デメリットを解説します。

 

1. 家族信託とは

 

家族信託とは、ご自身の財産の管理や運用について、家族に託す制度です。財産の運用で利益が発生する場合(例・アパート経営の家賃など)、家族に財産運用などを委託した後でも引き続き受け取ることができます。本章では家族信託について、仕組みや相談先を解説します。

 

1-1 家族信託の仕組み

 

家族信託には、以下の3名が登場します。

 

 1.委託者(財産を持つ人)

自分の財産を託す人を指します

 

 2.受託者(財産を管理する人)

財産の委託を受ける人です。例として、委託者の父に代わって不動産管理や売却を行う子がいる場合、子が受託者です。

 

 3.受益者(利益を得る人)

委託した財産から出る収益(家賃など)を受け取る人です。1の委託者と兼ねるケースが多くなっています。

 

多くの家族信託契約では、「委託者と受益者は親」とし、「管理・運用を受託者である子」となっています。

 

1-2 誰に相談できる?

 

家族信託は法的な契約であるため、主に以下の専門家が窓口となります。

  • 司法書士 

家族信託では信託登記が必要となるため、司法書士が相談窓口として広く活躍しています。

  • 弁護士

家族信託も含めた事業承継、相続対策の相談を受けている法律事務所もあります。

 

  • 税理士

信託にまつわる税務申告の相談先には税理士が適しています。

 

この他、不動産の家族信託では、コンサルタントとして不動産会社が活躍しているケースもあります。

 

1-3 商事信託との違い

 

家族信託が「家族間での財産管理・運用」を目的とするのに対し、商事信託は「営利目的の信託」であるという大きな違いがあります。

 

家族信託では家族や親族が「受託者」になります。基本的には無報酬、あるいは家族間で決めた少額の手当のみで運営されるため、ランニングコストを低く抑えられます。

 

一方の商事信託は信託銀行や信託会社などの「金融機関や民間企業」が受託者となります。営利事業であるため、契約時の事務手数料に加え、月々の管理報酬(信託報酬)が発生し続けるのが一般的です。

 

2. 不動産の家族信託は相続対策になる?

 

不動産をお持ちの方は相続対策に敏感な方が多く、家族信託に関心を持つ方も増加しています。では、なぜ家族信託は相続対策に有効なのでしょうか。本章では家族信託が相続対策になる3つの理由を解説します。

 

2-1 共有財産化を防止できる

 

相続開始後に不動産を複数の相続人で平等に相続するために「共有名義」にしてしまうケースがあります。しかし、共有名義の不動産は、売却時などに「共有者全員の同意」が必要となるため、本来は避けたい相続方法です。

 

家族信託を相続対策に活用する場合、受託者一人に決めておけば、共有化が避けられます。管理権や受益権を継がせることができるため、事実上遺言の役割も果たすことが可能です。

 

2-2  二次相続以降まで指定できる

 

通常の「遺言」では、自分が亡くなった次の相続(一次相続)までしか指定できません。しかし家族信託では「自分が死んだら妻へ、妻が死んだら長男へ」といったように、二代先、三代先の資産承継(二次相続以降)を指定することが可能です。大切な不動産を長く引き継がせることができます。

 

2-3 委託者の意思を反映させた相続が実現する

 

「ただ資産を渡すだけでなく、特定の目的に使ってほしい」という願いを契約書に盛り込めます。法的な拘束力を持たせつつ、柔軟に契約内容を設計できることも家族信託の特徴です。また、相続とは異なり、遺言書と同じように意思を反映した契約ができるため、思いを残すことができます。

 

3. 家族信託のメリットとは

 

家族信託については契約前に知っておきたいメリット・デメリットがあります。そこで、本章ではまずメリットについてわかりやすく解説します。

 

3-1 認知能力が低下しても安全に財産管理ができる

 

認知症などで判断能力が不十分になると、株式の運用や不動産の運用・売却などの行為ができなくなります。

 

あらかじめ家族信託を事前に結んでおけば、認知能力が低下した後でも、受託者である子が親に代わって不動産を運用・売却し、その代金を親の介護費用に充てるといった柔軟な対応が可能になります。

 

 

3-2 成年後見制度より柔軟

 

「成年後見制度」は認知機能が低下した方の財産を管理する際や、相続手続き時に利用されている制度です。家庭裁判所で成年後見人の申立てを行う必要があります。その後も家庭裁判所の監督下に置かれるため、被後見人(成年後見人がついている方)の資産運用や、親族への贈与などは財産を減らしてしまう行為のため原則できなくなります。

 

一方、家族信託は家族間の合意に基づいた契約のため柔軟な管理ができるため、受託者による資産運用は継続できます。また、成年後見制度よりも低コストの運用が可能とされます。

 

3-3 倒産隔離機能がある

 

信託された財産は、受託者個人の財産とは区別されます。万が一、受託者(子)が破産したとしても、信託された不動産が差し押さえられることはありません。

 

この仕組みを倒産隔離機能と呼び、大切な資産を守るバリアのような役割を果たします。事業経営者なども安心して利用できる制度です。

 

3-4 相続トラブルを回避できる

 

あらかじめ誰が何を管理し、誰が利益を受け取るかを決めておける家族信託では、信託する財産(信託財産)を遺産分割協議や遺言書の対象財産から外れます。

 

財産を巡る無用な「争続」を未然に防ぐことができるため、財産が多い方や不動産を安全に特定の方へ承継させたい場合にも有効です。

 

4. 家族信託のデメリットとは

 

家族信託には上記のようにメリットが多い一方で、押さえておきたいデメリットもあります。特に贈与や一般的な相続手続きとは異なるため、デメリットをしっかりと押さえておくことが大切です。

 

4-1 仕組みが複雑である

 

家族信託はオーダーメイドの契約です。契約内容を決める際には、どのような内容にするべきか、委託者・受託者・受益者が納得できる仕組みにすることが大切です。

 

また、財産を受託する受託者が普段使っている口座とは別に、「信託口口座」という別の口座を銀行で作る必要があります。信託口座の開設は対応している金融機関はまだ限られている上、開設には時間がかかったり、別途費用が発生したりすることもあります。

 

ただし、受託者の固有財産とはみなさない口座となるため倒産隔離機能が働くほか、受託者が死亡したとしても相続人に相続されません。

 

口座にはこの他に倒産隔離機能を持たない信託専用口座を使うこともできます。現在の家族状況にはどのような口座が向いているのか、専門家にアドバイスをもらうことがおすすめです。

 

4-2 家族信託では身上監護は不可

 

受託者は委託者と契約した「財産の管理」はできますが、委託者の「介護施設の入居手続き」や「入院手続き」といった身上監護を代理することはできません。

 

これが必要な場合は、任意後見制度の併用や、結局成年後見制度に頼らざるを得ない可能性もあります。身上監護に備えたい場合は、家族信託以外に任意後見契約を早めに用意することも検討する必要があるでしょう。

 

4-3 親族間で不公平が発生しやすい

 

例えば「長男を受託者にしたが、次男がその管理内容に不満を持つ」といったケースも予想されます。財産を次世代へ承継する際には透明性を保つために、家族信託の契約前に親族全員に報告するなどの対策が必要です。

 

関連記事:円満な不動産相続の進め方

 

4-4 遺留分侵害額請求を受けるおそれがある

 

家族信託であっても、他の相続人の「遺留分(最低限の財産を受け取れる権利)」を奪うことはできません。信託内容が偏りすぎていると、財産をもらえなかったという不公平さから死後に親族間で金銭トラブルに発展するリスクがあります。

 

4-5 節税効果は期待できない

 

「家族信託をすれば相続税が安くなる」わけではありません。税金面では、信託をしていない場合とほぼ同じと考え、あくまで「管理・承継をスムーズにするためのツール」と捉えることが大切です。

 

関連記事:不動産相続で損しないための基礎知識

 

5. 不動産の有効活用・処分は町田市のまねきや不動産へ

 

家族信託は遺言書にはない機能もあるため優れた制度ですが、万能ではない側面もあります。特に不動産の相続対策を行いたい場合は、贈与や相続後の出口戦略も家族間で話し合った上で方法を検討することが大切です。

 

町田市のまねきや不動産では、司法書士と連携した相続・不動産の様々なお悩みに対応しています。まずはお気軽にご相談ください。

 

menu

オンライン・出張相談対応

042-000-0000
相談のご予約 9:00~17:00