意外といらない遺産とは?相続したくないものへの対処法を解説
「遺産を相続したら、むしろ困ってしまった」
そんな声が、近年の相続現場では増えています。相続というと「財産が増える」というポジティブなイメージを持つ方も多いですが、実際には負動産(価値のない不動産)や農地、空き家、借金、連帯保証債務など、受け取ることでかえって負担になるものが少なくありません。本記事では、相続したくない財産の具体例と、それぞれの適切な対処法をわかりやすく解説します。
1. 意外といらない遺産にはどのようなものがある?
相続財産にはプラスの財産(預貯金・不動産・株式など)だけでなく、借金や保証債務などのマイナスの財産も含まれます。また、一見すると「プラスの財産」に見えるものでも、維持費や税金・管理コストが発生し続けることで、実質的に「マイナスの財産」となるケースもあります。本章では「意外といらない遺産」とはどのようなものがあるのか詳しく解説します。
1-1 いらない遺産によくある特徴
①不動産
- 過疎地・山間部の土地 売れない、固定資産税だけかかる
- 老朽化した空き家 解体費用が数百万円、管理義務もある
- 農地・山林 耕作放棄地は売却や転用が難しく、維持コストがかかる
- リゾートマンション 管理費・修繕積立金が毎月数万円、売値がつきにくい
- 田舎の実家 誰も住まなくても固定資産税・維持費が発生し続ける
②権利関係
- 墓地の永代使用権 継承者がいないと管理費が永続、返還も困難
- ゴルフ会員権 バブル期のものは価値がほぼゼロ、年会費だけかかる
- マイナスの預貯金(借金) カードローン、連帯保証人になっている債務など
③動産
- 大型家具・骨董品 — 処分費用がかかる、引き取り手がいない
- コレクション(切手・古銭など) — 価値の鑑定・売却が煩雑
- 古い車・農機具 — 廃車・処分費がかかる
こうした「相続したくない財産」に適切に対応するには、相続の仕組みを正しく理解し、早めに専門家へ相談することが重要です。
1-2 特に注意したい「いらない遺産」
遺産にはプラスの財産だけでなく、借金や未払いの税金、滞納した家賃などのマイナスの遺産も含まれます。これらは相続人が預貯金などと同じように相続する必要があるため、プラスの財産より借金の方が多い場合は注意が必要です。
被相続人が他人の借金の連帯保証人になっていた場合、その保証債務も相続されます。主債務者が返済できなくなれば、相続人が代わりに支払いを求められます。連帯保証人になっていたかどうかは、生前に確認するのが難しいケースも多く、相続後に発覚して驚くことも少なくありません。
上場株式はすぐに売却できますが、非上場会社の株式は売却先を見つけるのが困難です。その会社の経営に関わっていない相続人にとっては、価値があるのかどうかも不明で、処分に時間とコストがかかることがあります。同様に、かつては高額だったゴルフ会員権やリゾートの会員権も、現在は価値が大幅に下がっているものが多く、年会費や管理費だけがかかり続けるケースもあります。名義変更や解約の手続きが複雑なことも多くなっています。
相続放棄に関しては以下の記事もご一読ください。
関連記事:相続に3か月のルールがあるって本当?知っておきたい手続き期限
2. いらない不動産へはどのように対処する?
使い道がわからない、遠方で管理が難しい…こうした扱いが難しい不動産についてはどのように対処するべきでしょうか。不動産の場合、相続放棄以外にも対処法はいくつかあります。不動産の種類や状況によって、最適な方法を選びましょう。
関連記事:不動産相続で損しないための基礎知識
2-1 不動産売却
価値が低くても、売却できる可能性はゼロではありません。不動産会社(特に相続に詳しい会社)に相談することで、適切な売却方法が見つかることがあります。
- 仲介売却を依頼する
- 不動産会社に買い取ってもらう
- 空き家バンクへの登録(自治体の制度を活用)
- 土地の寄付・寄贈
一般市場で売れない土地でも、隣の住人にとっては「庭を広げる」「駐車場にする」といった価値が生まれることも少なくありません。無償譲渡を含めて交渉を検討できるでしょう。
2-2 相続土地国庫帰属制度の活用
2023年(令和5年)4月に施行された「相続土地国庫帰属制度」は、相続や遺贈で取得した土地を国に引き取ってもらえる制度です。一定の審査や負担金が必要ですが、維持管理が困難な土地を手放せる有効な手段として注目されています。ただし、利用できない土地の条件は非常に厳格であり、注意が必要です。
■利用できない土地の条件例
建物がある土地、担保権が設定されている土地、通路として使用されている土地、土壌汚染がある土地、境界が不明確な土地などは対象外です。その他の条件に付いては以下をご確認ください。
参考URL:法務省 相続土地国庫帰属制度について
2-3 遺産分割協議でしっかり協議する
相続人が複数いる場合、「いらない財産は自分が受け取らない代わりに、別の財産をもらう」という形で、遺産分割協議を行うことができます。例えば、不動産は兄が相続し、預貯金は弟が相続するといった分け方が一般的です。
ただし、相続人全員の合意が必要であり、誰も不動産を望まない場合は売却して現金で分けるという方法(換価分割)もあります。
2-4 賃貸・活用による収益化
空き家や農地を手放せない場合でも、賃貸活用により収益化を図ることが可能です。リノベーションして賃貸物件にするなど、専門家のアドバイスをもとに最適な活用法を検討しましょう。
3. いらない遺産を受け取らないための事前対策
「いらない遺産」への最善の対処は、相続が発生する前に手を打っておくことです。被相続人となる親が元気なうちに、財産の内容を家族で共有しておくことが大切です。
特に、処分が難しい不動産や会員権、保証債務などは生前に整理しておくだけで、相続人の負担を大幅に軽減できます。また、遺言書の作成や家族信託の活用によって、財産の行き先をあらかじめ明確にしておくことも有効な手段です。
「相続は突然やってくる」という言葉があるように、準備なく相続を迎えると対応に追われてしまいます。司法書士や弁護士、税理士などの専門家に早めに相談し、家族全員が安心して相続を迎えられるよう備えておきましょう。
3-1 生前に不動産の整理・売却を進める
「いらない不動産」を相続人に残さないための最も直接的な方法が、被相続人が元気なうちに不動産を整理・売却しておくことです。高齢になるほど判断能力や行動力が低下し、売却手続きが難しくなるため、できるだけ早い段階で動き出すことが重要です。
特に、過疎地の土地や老朽化した空き家は、時間が経つほど資産価値が下がり、売却が困難になる傾向があります。不動産会社に査定を依頼し、売却できるうちに手放しておきましょう。
3-2 遺言書・家族信託で不動産の行き先を明確にする
複数の相続人がいる場合、誰も望まない不動産が「宙に浮いた状態」になってしまうことがあります。こうした事態を防ぐために有効なのは、遺言書の作成と家族信託の活用です。
遺言書では、特定の不動産を誰が相続するかなどをあらかじめ指定しておくことができます。
家族信託では、認知症などで判断能力が低下した後も、信頼できる家族が不動産の管理・処分を行えるよう権限を委ねることが可能です。
どちらの手続きも、司法書士や弁護士などの専門家と連携しながら進めることで、相続発生後のトラブルを大幅に減らすことができます。
3-3 相続登記の義務化を踏まえて早めに動く
2024年4月から、相続登記が義務化されました。これにより、不動産を相続した場合は原則として3年以内に登記申請を行わなければならず、正当な理由なく怠った場合は過料の対象となります。
これまでは「とりあえず名義変更しないまま放置」という対応も見られましたが、今後はそれが認められなくなります。相続が発生した際にスムーズに手続きを進めるためにも、生前から不動産の所在・権利関係を整理し、相続人となる家族と情報を共有しておくことが不可欠です。
また、すでに名義変更が長年放置されている不動産がある場合は、被相続人が元気なうちに解消しておくことが大切です。
4. まねきや不動産でいらない遺産の悩みを解決しませんか
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