夫婦で共有名義となっていた不動産はどのように相続する?

夫婦が長年一緒に生計をともにしていると、共有名義で所有している財産も多くなる傾向があります。特に大切な不動産を購入、維持をするにあたっては夫婦の共有名義になりやすく、一方が亡くなられた際に「どのように相続するか」悩まれる方が少なくありません。

 

結論から言うと、亡くなられた方の持分については遺産分割協議の対象となり、新たに取得する方は相続登記をする必要があります。そこで、本記事では夫婦で一緒に所有していた不動産の相続について手続きのポイントやよくある悩みを解説します。

 

1. 夫婦が共有名義で所有していた不動産の相続とは

 

夫婦が共同で資金を出しあったり、ペアローンを組んだりなどで取得した不動産は、それぞれの出資額に応じた「持分」を持つ共有名義になっていることが一般的です。まずは、一方が亡くなったときにその不動産がどのように相続時に扱われるのか、基本を押さえておきましょう。

 

1-1 一方が亡くなられた場合遺産分割協議の対象となる

 

夫婦が共有名義で所有している不動産は、それぞれが「持分」という形で権利を持っています。たとえば夫が2分の1、妻が2分の1という形で登記されている場合、夫が亡くなっても不動産全体が相続財産になるわけではありません。

 

相続の対象となるのは、亡くなられた方(被相続人)の持分のみです。残された配偶者の持分はもともと所有していた配偶者のものであるため、1つの建物や土地でも、残された配偶者の持分は相続の対象外となります。

 

被相続人の持分については、法定相続人全員で遺産分割協議を行い、誰が相続するかを決める必要があります。協議が成立したら、相続登記(所有権移転登記)を行うことで正式に新たな名義人になれます。

 

1-2 遺言書がある場合は指定された方が取得する

 

被相続人が生前に遺言書を作成していた場合、その遺言書に基づいて持分を取得する人が決まります。遺言書がある場合は原則として遺産分割協議を行う必要はなく、遺言書に指定された相続人(または受遺者)が被相続人の持分について相続登記を行います。

ただし、遺言書の内容が他の相続人の「遺留分」を侵害している場合には、遺留分侵害額の請求を受ける可能性もあるため注意が必要です。

 

2. 不動産の共有名義を確認する方法

 

相続手続きを進める前段階として、そもそもその不動産が本当に夫婦の共有名義になっているのか、またそれぞれの持分の割合がどうなっているのかを正確に把握する必要があります。本章では不動産の共有名義を正しく把握する方法を解説します。

 

2-1  登記事項証明書を確認する

 

不動産が誰の名義になっているか、またそれぞれの持分がどのくらいかを確認する方法は、登記事項証明書(登記簿謄本)を取得することがおすすめです。

 

登記事項証明書は、法務局の窓口やオンライン(登記・供託オンライン申請システム)で取得できます。

 

2-2 持分の確認方法

 

持分は登記事項証明書の「権利部(甲区)」に所有者と持分の情報が記載されています。「持分2分の1」などと記載されていますので、被相続人がどれだけの持分を持っていたかを確認しましょう。

 

持分の割合によって相続財産の評価額も変わってきます。たとえば土地・建物合わせて4,000万円の不動産を夫婦がそれぞれ2分の1ずつ共有していた場合、相続財産となるのは被相続人が所有していた2,000万円分の持分です。

 

3. 共有名義の不動産の遺産分割協議とは

 

共有名義の不動産について、遺産分割協議が必要となる場合があります。本章では遺産分割協議の概要や、取得する方がどなたになるかによって異なる注意点を解説します。

 

3-1 被相続人が所有していた部分は遺産分割協議が必要

 

遺言書がない場合、被相続人の持分は法定相続人全員の同意のもと、遺産分割協議によって誰が取得するかを決める必要があります。

 

法定相続人となる範囲と優先順位は以下のとおりです。

 

  • 配偶者(常に相続人)
  • 1順位:直系卑属(子ども・孫など)
  • 2順位:直系尊属(父母・祖父母など)
  • 3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が先に亡くなっている場合は甥・姪)

 

遺産分割協議は相続人全員で行う必要があり、一人でも欠けると協議は成立しません。協議の内容は「遺産分割協議書」としてまとめ、相続人全員が署名・実印を押印します。

 

関連記事:相続の順位とは?遺産の分け方や順位が変わる際の注意点を解説

 

3-2 夫婦の一方以外が相続する場合の注意点

 

例として夫が亡くなり、夫の持分を妻ではなく子どもが相続するケースも考えられます。この場合、不動産は「妻と子どもの共有名義」になります。

共有名義が複数人に増えると、将来的に不動産の売却・リフォームなどの意思決定が複雑になることがあります。そのため、本当に共有状態を継続するのか、遺産分割協議時に慎重に話し合うことが大切です。

 

さらに、一方の共有名義者が自身の持分を売却する場合も注意が必要です。例として、将来的に子供が「自分の持分を現金化したいから家を売りたい」と主張し始めた場合にトラブルに発展するおそれがあります。

 

配偶者居住権の活用も検討しましょう。配偶者居住権を設定すれば、妻が持分を取得せずとも自宅に住み続ける権利を確保しながら、他の財産を取得しやすくなります。

 

3-3 夫婦の一方が取得する場合

 

残された配偶者が亡くなった方の持分をすべて相続し、不動産を100%配偶者の単独名義にする場合、トラブルは少ない傾向があります。

 

単独名義にすると将来的な売却や住み替えの意思決定も自分一人で行えるようになります。ただし、他の相続人に対して、不動産の代わりに現金を支払う「代償分割」などを求められる場合もあるため、手元の資金との兼ね合いを考慮する必要があります

 

関連記事:相続後はいつ不動産を売却できる?遺産分割時の注意点を解説

 

4. 共有名義の不動産相続でよくある悩みとは

 

不動産の相続、特に共有名義が絡むケースでは多くの悩みが発生します。そこで、本章ではよくある悩みをピックアップして紹介します。

 

4-1 遺産分割協議がまとまらない

 

「一方は同居を続けたいから名義を買い取りたい」「もう一方は今すぐ全体を売却して現金で等分したい」など、遺産分割協議では相続人同士の意見が食い違うのはよくあることです。このようなケースでは話し合いでの解決が難しい場合、遺産分割調停を検討することも考えられます。ただし、調停を理由に相続税申告の期限延長はできないため、十分に注意しましょう。

 

4-2 共有名義は生前に解消しておくべきか

 

「自分が亡くなった後、残された妻や子供たちが困らないように、生前のうちに共有名義を解消して妻の単独名義にしておいた方がいいのだろうか」という疑問を抱く方も多いでしょう。

 

生前に名義を変更する(贈与する)場合、一定の要件を満たせば「配偶者控除(おしどり贈与)」などが利用できますが、登録免許税や不動産取得税といったコストが相続時よりも割高になるケースがあります。生前に対策すべきか、相続を待つべきかについては、物件の評価額や家族構成によって最適な選択が変わるため専門家へ相談しておくこともおすすめです。

 

参考URL  国税庁 No.4452 夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

 

 

4-3 いつまでに相続登記をするべきか

 

202441日以降は相続登記が義務化されています。相続(遺産分割)によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を行う義務があります。正当な理由なく期限を過ぎた場合、10万円以下の過料が課される可能性があります。

 

また、202441日以前に発生した相続についても、2027331日までに相続登記を行う必要があります(経過措置)。つまり、過去に相続した不動産やこれから相続する不動産のいずれも、お早めに登記することが大切です。

 

関連記事:相続登記のベストなタイミングはいつ?不動産屋がズバリ解説

 

 

5. 共有名義の不動産の相続に悩んだら

 

共有名義不動産の相続は、法律の知識だけでなく、その後の「不動産としての活用・売却の見通し」を踏まえて判断することが重要です。大切な資産をよりよい方向で相続するためにも、以下のような悩みは早めに対処しましょう。

 

5-1 遺産分割協議に悩んだ場合

 

親族間での話し合いが難航しそうな場合や、適切な持分の分配方法が分からない場合は、早めに専門家へ相談しましょう。

 

特に価値をめぐって対立しそうな場合は早めに遺産分割の前提となる「不動産の現在の適正な市場価値(査定額)」を知ることで、具体的な金銭のやり取りの基準ができ、話し合いをスムーズに進めやすくなります。査定については地域に根差した不動産会社へご相談いただくことがおすすめです。

 

5-2 売却に悩んだ場合

 

「相続したものの、今後の維持費や固定資産税が負担になる」

「自分は別の場所に家を持っているため、町田や相模原の家を処分したい」

 

このようなお悩みを抱えている場合は、相続に精通する不動産会社へご相談いただくことがおすすめです。一般的に共有名義の不動産を売却する際は、部分的な持分だけを売るよりも、相続人全員で協力して不動産全体をまとめて売却する方が、圧倒的に好条件で買い手が見つかりやすくなります。

 

6.まとめ

 

町田市・相模原市近郊の不動産相続なら「まねきや不動産」へご相談ください

夫婦の共有名義だった不動産の相続は、名義が複雑に絡み合うからこそ、将来の暮らしやすさや資産価値を見据えた選択が欠かせません。町田市や近郊エリアや利便性の高さから住宅地としての需要が常に高い地域です。だからこそ、不動産のポテンシャルを正しく見極められる地元密着の会社に相談することが、トラブルのないスムーズな相続への近道となります。

 

 

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